どんなヘッドホンでもバーチャルサラウンドが楽しめるというもの。
良くサラウンドヘッドホンで話題になる2万程度のソニーDS71000などはヘッドホン部分だけで言えば
実売5千円にも満たないようなものである。しかしこれを使ってしまえば何万円のヘッドホンでも
サラウンド化できるのだから、実質的な迫力は何倍にもなるんじゃないかと巷で話題になった機器だ。

実際はどうなのかというと、1万程度で用意できる環境にしては十分すぎる効果をもたらしてくれる。
例えばPS3のようなものに光接続してゲームをやってみると、2.0chでは表現しきれないような
リアルタイムでの音響効果が頭の周りを広く包み、中々の効果を得ることができた。

しかし、良くも悪くもその効果をヘッドホンに左右されやすい製品でもある。
同メーカーのRX700では、音場は広いが高音が弱いせいで残響音が残念な結果となってしまっており、
S-LOGICの効果を期待して購入したULTRASONEのHFI-780とでは前方定位とドルビーヘッドホンががミスマッチだったのか音場表現からリアリティが消滅する結果となってしまい、逆効果だった。
この製品と合うといわれて購入したSE-A1000は安っぽい低音と開放型とは思えない狭い音場に嫌気が差して知人に格安で譲った。
当時愛用していたHD595との相性は中々良好で、自然で広い音場でサラウンド効果も高く満足できる結果に。
HD650は確かに迫力が出るが、低音が強すぎるせいか満足度としてはHD595と同じ程度となる。また音場感もこの機器を通すとHD595にはなぜか劣ってしまった。
D2000は音場もそこそこあり迫力も出るが、それぞれの音の線の太さがやや細いためか強弱の表現に欠け、HD595と比べるとやや劣るも相性は悪くない。

要はどんな傾向のものと組み合わせが良いのかといえば、
あまり音に味付けをしていないもので、自然な音場表現で、できれば開放型が望ましい、という感じになるか。
それは同時にSU-DH1が自然な音の出口を想定した音作りになっているということになるが、
サラウンド化において、癖の無い音を出すということがこの製品の売りでもある。
同じ設計指向で何のヘッドホンでも刺せるソニーのDS1000というサラウンドコンバータがある。
こちらは何というか風呂場にいるかのような音場で、SU-DH1ほどの汎用性は持ち合わせていないように思われる。またこれは比較のしようもないのだが、付属のヘッドホンは利用者をバカにしているとしか思えない出来だ。

ここまで書いておいておきながら今更言うと、このSU-DH1は今年になって生産終了となってしまった。確かに色んな意味で需要が薄そうな製品であるからこうなるだろうとは思っていたが・・・。
しかし冷静になってみれば、サラウンドとして満足がいったのはSU-DH1+HD595クラス以上のものであって、値段は合わせて2万8千円程より上となるということになる。元々ミドルレンジのヘッドホンを持っている人でなければこういう製品には中々手を出さないので、そうなると購入者層も絞られたものとなってしまうか。現状SU-DH1のような小型サラウンドDACで残っているのはDS1000くらいしかなく、こういう類のものを欲しがる人の多くは同列で有名なDS7100に流れていき、当分ソニーの一人勝ち状態が続くこととなるのだろう。とりあえずDS1000を手にしようとしている人には、やめておけという私の強い気持ちだけ受け取っていただければ幸いである。そうすれば少なくともバーチャルサラウンドという技術に幻滅することはないだろう。
手持ちのコレが壊れてしまうまでに、絶望的とは知りつつも後継機の発売を望むばかりだ。